本ページで紹介している喫茶およびフリースペースは、スマイル中山(地域活動支援センターⅢ型)の利用者による活動の一環として運営しており、制度上の支援サービスとは別に、地域に開いた形で行っている取り組みです。
古民家を改装した喫茶の1階では、利用者が地域の方と関わりながら喫茶運営を行っています。2階は畳の部屋をフリースペースとして開放しており、子どもや保護者、学生ボランティアなどが、立場や状況を問わず過ごすことができます。
ここは、相談や指導、支援計画を前提とした場ではなく、「ただ居てよい場所」として設計しています。
なぜ喫茶という形を選んだのか
喫茶は、「支援を受ける人」と「支援する人」に分かれない場所です。注文をする人、飲み物を作る人、同じ空間で時間を過ごす人が、自然に混ざり合います。
不登校やひきこもりに関わる場では、「何をするのか」「どう良くなるのか」を早く求められがちです。しかし私たちは、何かを始める前に、まず安心して存在できる場所が必要だと考えています。
喫茶という日常的な空間は、「支援される側」という立場を一度外し、人として関わることができる形だと考え、この形を選びました。
私たちが大切にしている「承認」という考え方
私たちは、賞賛や評価を目的とした関わりを目指していません。
賞賛や褒めることは、行動や結果に対する評価であり、そこには上下関係が生まれやすくなります。「何かを成さなければ認められない」という構造は、苦しさを抱えている人にとって、さらに息苦しいものになりがちです。
私たちが大切にしているのは、「承認」です。それは、その人が今どうであるかに関わらず、存在そのものを受け入れることです。
不登校であることも、ひきこもっていることも、そのまま受け止める。会えただけで嬉しい。ここに来てくれただけで十分。そうした関係性を、この場所では最初から差し出しています。
元当事者が関わる意味
この取り組みに関わっている支援者の多くは、元不登校・元ひきこもりの経験を持っています。
その経験は、美談として語るためのものではありません。「良くなること」を前提にされる苦しさや、「期待に応えられなかったときの居心地の悪さ」を、身体感覚として知っているということです。
そのため私たちは、前より良くなったかを確認せず、来なくなっても失敗だとは考えず、役に立てていなくても関係は成立すると考えています。
関係は、成果が出なくても続いてよい。何も起きなくても、そこに居てよい。それが、この場の前提です。
無料・登録なしで開放している理由
このフリースペースは、面倒な登録や費用を必要としません。児童・生徒の場合は、喫茶のオレやジュースも無料で提供しています。
利用のハードルが高くなればなるほど、本当に困っている人ほど来づらくなります。「利用する理由」や「説明」を用意しなくても来られる場所であることを、私たちは優先しています。
私たちが「やらない」こと
- 指導や訓練を目的とした関わり
- 行動改善や目標設定を前提とした支援
- 状態を評価・判断すること
- 学校復帰や社会復帰をゴールに設定すること
これらを否定しているわけではありません。ただ、この場所では別の役割を担っているというだけです。
よくある質問
不登校やひきこもりの支援をしてもらえる場所ですか?
相談や支援を目的とした制度サービスではありません。結果や変化を求める場ではなく、安心して過ごすことを大切にしています。
親だけ、子どもだけでも利用できますか?
はい。親だけ、子どもだけ、どちらでも構いません。利用の形に決まりはありません。
利用をやめたら問題になりますか?
問題にはなりません。来なくなったことを失敗だとは考えていません。
専門職や学生が見学・情報収集に来てもよいですか?
可能です。事前にご連絡いただけると助かります。
最後に
この取り組みは、大きな成果や変化を生み出すことを目的としていません。ただ、評価されずに居られる時間と空間を、地域に残したいと考えています。
もし、どこにも行き場がないと感じている方がいれば。もし、支援のあり方に迷っている方がいれば。この場が、考えるための一つの材料になれば幸いです。